浄土宗の葬儀
カテゴリ:宗派の解説と葬儀の違い
更新日時:2021年06月09日 18:44
浄土宗は、法然上人を始祖とする、鎌倉時代に開かれた宗派です。阿弥陀如来をご本尊とする浄土宗の総本山は、京都の知恩院です。知恩院のほかにも全国に七大本山と呼ばれる寺院があり、関東では東京都港区に増上寺、鎌倉に光明寺があります。京都には知恩寺、清浄華院、金戒光明寺があり、さらに福岡県の善導寺と長野県の善光寺大本願があります。
私たちは「他力本願」という言葉をよく使いますが、この言葉は阿弥陀如来の力、つまり絶対的な力を持つ他者を信じることを意味しています。浄土宗では「南無阿弥陀仏」と唱えますが、これがまさに他力本願であり、「阿弥陀如来を信じて唱えれば、極楽浄土に行ける」と浄土真宗では考えているのです。
浄土宗の葬儀の特徴
浄土宗の葬儀で特徴的なのは、参列者も念仏を唱える「念仏一会(ねんぶついちえ)」でしょう。これは「南無阿弥陀仏」を唱えて、故人が阿弥陀如来に救われるよう、サポートする意味でおこないます。また、この念仏一会には、阿弥陀如来と参列者との縁結びの意味合いもあるようです。
ほかに特徴的な儀式を挙げるとすれば、「下炬引導(あこいんどう)」でしょう。
下炬引導では、火葬の際、松明で点火する様子を。法具を使って表します。この動作には、「厭離穢土(おんりえど)」という、煩悩にあふれる世の中を嫌って離脱する…そんな意味が込められています。
浄土宗における葬儀の流れ
浄土宗の葬儀の流れについてご紹介します。
お通夜
お通夜では、ろうそくと線香は絶やしません。故人は、顔に白い布、胸元に守り刀を置き、北枕に寝かせます。
お通夜では、僧侶に来ていただき、枕経をあげてもらう場合もありますが、こちらは本来は臨終直前におこなわれるものなので、通夜ではおこなわないこともあるようです。
葬儀式
葬儀式では、頭を剃るしぐさを模し、念仏を唱えたあと、「三帰三竟(さんきさんきょう)」と呼ばれる、故人に対して仏法僧をよりどころにすることを伝える儀式がおこなわれます。その後、戒名の授与や誦経(ずきょう)、念仏一会、回向などがおこなわれたあと、「序文」と呼ばれる仏様を迎え入れる儀式に移ります。
続いておこなわれる「正宗分(しょうじゅうぶん)」が葬儀のメインパートです。すでにご紹介した浄土宗の特徴的な儀式「下炬引導」はここでおこなわれます。
仏様と故人を送る儀式「流通分(るつうぶん)」にて僧侶が退場します。
浄土宗の焼香マナー
浄土宗の葬儀では、焼香の回数は特に決められていません。1~3回でおこなえばよいでしょう。